ひとりごと2

 

理想的な社会実現の条件と言えば、数多くのものが数えられることだろう。それらのうちの1つとしてぜひ数えたいものに、雇用の平等という問題がある。障害者も健常者も区別無く、平等に雇用される社会が実現したとすれば、それはかなり理想的な社会に近づいたということができるだろう。

そのことにやっと気が付いた我が国政府も、遅まきながらその実験に取り組もうとしている。厚生労働省が、将来の就職につなげるため、民間の事業所に委託して、障害者を約3ヶ月間、試験的に雇う制度を導入しようとしているのだ。そのために、障害者雇用に実績を持つ企業のOB等を求人開拓推進員としてハローワークに配置するほか、障害者が職場に溶け込めるように、専門的な援助をする「職場適応援助者」の要請にもより力を入れるとのことである。

この機運を先取りして、我が「レモンの木」でも、小さいながら動きを開始した。朝霞市の中央郵便局に働きかけて郵便局内で視覚障害者に可能な仕事はないかを検討してもらうことを依頼したのだ。郵便局側でも非常に好意的で、総務課長を中心に、視覚障害者の実験的な受け入れに同意してくれている。具体的に人を送り込んで、体験実習も数回にわたって実践した。

全てが機械化されていく作業の中で、視覚障害者に適する仕事があるかどうか、それはなお疑問であるが、このような体験実習を繰り返すことによって、社会の多くの人々に、あるインパクトを与えうることだけはできるだろう。「レモンの木」の1つの特徴として、今後ともこうした運動を続けたいものである。

阿佐 博


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