※以下、新聞記事
「障害者基本法の一部を改正する法律」が5月28日の参院本会議で、全会一致で可決・成立した。今月中に施行される予定。可決に際しては、差別禁止法の制定や就労施策の充実求める7項目の付帯決議も採択された。
改正法は、自民党の八代英太議員などを中心とした議員立法などを中心とした議員立法として5月12日に衆院に提出、13日の本会議で全会一致で可決され、参院に送られていた。
改正法では、障害者に対する差別や権利利益の侵害の禁止を基本理念に位置付け、「障害者の自主性を尊重し、可能な限り地域で自立した生活を営むように配慮する」事を施策の基本方針として明記した。
都道府県・市町村の障害者基本計画の策定を義務化し、国が定める障害者基本計画作成のため「中央障害者施策推進協議会」を創設し、障害者を委員に任命することも盛り込んだ。
福祉に関する基本施策では、国・地方公共団体に、@医療・リハビリの提供とその研究・開発・普及A医療・介護・生活支援・その他自立のための支援B専門的技術職員などの育成C福祉用具・補助犬の給付・貸与とその研究・開発・育成―などに必要な施策を講じるように義務づけた。
また、障害のある児童とない児童との交流・共同学習を積極的に進めること、小規模作業所や職業訓練施設を拡充するための支援策を講じることも規定した。
可決に際しては、参院内閣委員会による七項目の付対決議を採択した。決議では「障害を理由とする差別や権利侵害救済のために必要な措置を検討する」と差別禁止法の制定を求めたほか、@障害者があらゆる分野の活動に分け隔てなく参加できるようにするA地域における作業活動の場を育成するとともに、精神障害者の雇用率の適用・復職支援、在宅支援策を積極的に進めるC障害のある児童とない児童が共に育ち教育できる環境を整備するD障害の定義を適宜見直し、発達障害者・難病に起因する障害者施策を推進するE国連・障害者権利条約制定などの動向を踏まえ、制度整備の必要性を検討する―ことを政府に求めた。
第3条 すべて障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する。
2 すべて障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられる。
3 何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。
第14条 国及び地方公共団体は、障害者が、その年齢、能力及び障害の状態に応じ、十分な教育が受けられるようにするため、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならない。
2 国及び地方公共団体は、障害者の教育に関する調査及び研究並びに学校施設の整備を促進しなければならない。
3 国及び地方公共団体は、障害のある児童及び生徒と障害のない児童及び生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによって、その相互理解を促進しなければならない。